季節外れの話にはなりますが、、紫陽花の季節、雨上がりに葉っぱの上をゆっくり進む生き物を久々に見かけたある日。
2歳半頃の孫息子が興奮気味に「ハ❓❓ムリだぁ」と言うので、何度か聞き返してもリスニングに失敗し、息子に通訳を頼むと、「カタツムリのことをハツクムリって言ってる」と答えました。自分でそれを再現してみて、納得。確かにほぼ「カタツムリ」になる!
先に投稿した、「アリゲーターいました」話の第二弾になりますが、我々が言語を習得していく時に何が起こっているのか?というプロセスが、日本語習得中の幼児の発言で改めて興味深いものになりました。
大人やお友達が発する言葉を幼児が音で捉える時に、音程とリズムを再現している点にフォーカスします。日本語は地方でのバリエーションが多すぎるので、今回は標準語における説明にとどまりますね。
カタツムリという5文字の最初の3文字は子音が優位な無声の破擦や破裂音/k//t//ts/が優位で母音があまり表に出ません。(地域差があります)口の中で舌の奥や先、歯や舌の組み合わせで鳴らしている音です。それに比べて後半の2文字は/m//l/という、有声子音なので「ムリ」は聞こえたままを再現したのでしょう。
カタツ、をハツク、と言ったのは、瞬間捉えた乾いた感じの音の連続を口から出しやすい順番で再現したと推測します。現に、母音をあまり鳴らさずにサラッと言えば同じような音になります。そこにムリをつけて、snailを見てハツクムリと言えばほぼ正解です。
カタツムリという語の音程とリズムを捉えて似た感じの音素で再現する。この順番を小賢しく大人がやると妙な事になります。
「ハツクムリがいるね?」と同意を求めた私に、2歳児からはきっぱりと、カタカナで書けない、「Hatsku-muri」と訂正が入りました。ハツクムリと最初から言っている音は彼が捉えた音ではないという事です。カタツムリをサラっと言った時に聞こえた音の変換なので、一からそこを狙うのは的外れでした。ここが言語習得、発音習得の難しい部分でもあり、肝ですね。
大人の学び直しをされている複数の生徒さんにディクテイションをしていただく時に、こう聞こえた、という最初の印象から離れないで下さいね!とお伝えしています。例え違う単語や音の連結が取れていなくても、色んな感性を刺激するアプローチからやがて英語が英語のまま理解できる脳になっていくので、そのプロセスを楽しんでいただいています。たまに絶妙に言い換えられて違う意味で英語として成り立たせるところまで来ます。こうなれば次の段階です!
あどけない日本語が聞きたくて、少し経ってからカタツムリの画像を見せながら「これなぁに?」と孫息子に尋ねたら、「カーターツームーリッ」と少し呆れ声で諭されました。日本語ネイティブの幼児は放っておいても耳と発音が折り合いをつけてくれるということです。因みにこの子の父親は同じ歳の頃、ある野菜を「マトト」と言っていました。
Salon de 925
住所:東京都港区南青山4丁目 (根津美術館近隣)
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